8. 地元の建築家と業者
那須で大手のハウスメーカーに頼んで建築された別荘は大抵は評判が良くありません。大手のハウスメーカーも実際は地元の建築業者を使って建築を行なうのですが、中間マージンで40%も差し引かれることもあり、地元の建築業者は残ったお金で何とか費用を切り詰めてそれらしい建物を造るということになってしまいます。
日本人はブランド好きということもあり、ついつい建築に関しても大手ハウスメーカーに仕事を依頼しがちですが、考えてもみて下さい。大手ハウスメーカーであればあるほど、営業費や宣伝費、管理費等で莫大な費用を抱えており、中間マージンをそれだけ多くとらないと成り立たないのです。ですから「あれだけお金がかかったのに・・・これ?」みたいな別荘が出来てしまうのです。別荘の建築に関しては地元の建築家と地元の建築業者に頼むというのが一番誠実で良心的な価格を提示してくれます。
那須で一流と言われるレストランは地元の食材を使っていかにおいしいものを作れるかに挑戦しています。那須で一流&上質&高級だと言われるところはどこも、地元のものをいかに生かすかを常に念頭に置いて行動しているのです。たとえそれが個人の別荘建築であっても、“地元を生かした創造的な行動”という考え方は見習うべきものがあるのではないでしょうか。
地元の建築家であれば、当然地元に住んでいるのですから、住人としての視点から様々なアドバイスもしてくれます。那須の厳しい寒さへの注意、寒さによる水道管破裂に対する予防策、“那須おろし”と呼ばれる山側から吹く強風への対策、湿地帯である那須の湿気対策等々。住人であれば当然知っていることも、別荘を建築するために訪れた人々には初めて聞くことばかりです。大手ハウスメーカーが用意する規格品では到底対応しきれないような那須の厳しい自然現象への細かな対策も、地元の建築家であれば当然のように念頭に置いて行動してくれますので非常に安心感があります。
そのような考え方を念頭に置いたうえで、カオリが那須でもっともお薦めする建築家は一級建築士の円谷さんです。一級建築士で自分の事務所を開いている方に直接設計をお願い出来るというだけでもかなりの贅沢ですが、その他の面でもカオリの理想としている“建築”に対する要求をとても高いレベルでクリアされていたのでお願いすることにしました。それは“住む人の身になって考える力”の高さです。
ある建築士が住む人の身になって物事を考えられる人物であるかどうかを判断するための簡単なチェック項目がありますのでご紹介しておきましょう。
問1.床下収納を作りたいのですが。
答A.(良い建築家)それは危険ですから止めた方がいいですよ。
答B.(悪い建築家)それは便利ですね。作りましょう。
問2.お風呂を埋め込み式にして旅館みたくしたいのですが。
答A.(良い建築家)それは危険ですから止めた方がいいですよ。
答B.(悪い建築家)それはいいですね。作りましょう。
上記二つのチェック項目は同じ理由で、まともな建築家なら強く反対する筈です。第一に、どちらも掃除の時などに自分の身体よりも下に手を伸ばすことになり、眼圧の圧迫による網膜剥離や脳内出血を起こす危険性があること、第二に、どちらも不注意による落下の危険性があることです。ちなみに円谷さんはそのどちらの話も即座に却下し、危険だからやめましょうというお話をしてくれました。そんなところからも「信頼できる」という確信を持つに至ったのです。
この体験談の読み方
各ページでは、那須での別荘建築について、土地探し・建築家との打合せ・工事・完成後の暮らしの様子などを順に紹介しています。
興味のある部分から読んでいただいても構いませんし、最初から順に読んでいただくと、より流れがつかみやすいと思います。
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How to read this story
Each page shows one step of building the vacation house in Nasu, such as land search, meetings with the architect, construction, and daily life after completion.
You can start from any part you like, but reading in order may help you understand the full flow more clearly.