53. 引渡し 53. Handover
「一般に、“家の引渡し”とは鍵と引き換えに、建築代金の残額をもらうことを意味するようですが、あれは大手メーカーの考えた厭らしい駆け引きですね。お金と引き換えに鍵を渡す=お金をくれなきゃ家は渡さない、という極端に商業的な考え方にはどうも賛同できません」
そろそろ家の引渡しの話題なども出始めた頃、円谷さんが唐突にそのようなことを言われました。カオリはビックリしてしまいました。通常、建築業者は早くお金が欲しいので、なるべく短期間で作業を終えて“家の引渡し”を行なおうとします。そのため、2ケ月くらいでアッという間にパタパタと家を組み立ててしまう場合も多いのです。“もう少しかかると思っていたのに突然、工務店から電話がかかってきて引き渡しですと言われ慌てて出掛けた”というような話は那須高原では良く聞かれます。それは運転資金の乏しい業者がお金欲しさに深夜まで連日作業を続け、無理に月末までに工事を終わらせた結果なのです。当然、作業は雑で酷い欠陥住宅を押し付けられることも珍しくありません。
「一般に、“家の引渡し”とは鍵と引き換えに、建築代金の残額をもらうことを意味するようですが、あれは大手メーカーの考えた厭らしい駆け引きですね。お金と引き換えに鍵を渡す=お金をくれなきゃ家は渡さない、という極端に商業的な考え方にはどうも賛同できません」
そろそろ家の引渡しの話題なども出始めた頃、円谷さんが唐突にそのようなことを言われました。カオリはビックリしてしまいました。通常、建築業者は早くお金が欲しいので、なるべく短期間で作業を終えて“家の引渡し”を行なおうとします。そのため、2ケ月くらいでアッという間にパタパタと家を組み立ててしまう場合も多いのです。“もう少しかかると思っていたのに突然、工務店から電話がかかってきて引き渡しですと言われ慌てて出掛けた”というような話は那須高原では良く聞かれます。それは運転資金の乏しい業者がお金欲しさに深夜まで連日作業を続け、無理に月末までに工事を終わらせた結果なのです。当然、作業は雑で酷い欠陥住宅を押し付けられることも珍しくありません。
「考えながら作業をしたら短時間で出来る筈がありません。納得のいくものを作るためには皆がよく考えながら作業をする必要があるのです。だからウチで付き合いのある職人はみんなマイペースで時間をかけます。でもその分、確実に良いものが仕上がると思います」
そう言い切る円谷さんの姿勢には、仕事に対するこだわりとプライドが感じられます。きっと円谷さんの周りに集まっている職人さんたちは、円谷さんの考え方に共感し、一緒にじっくりと家を造り上げていきたいと願う方々なのだと思います。だから作業はそれぞれにマイペースで、納得のいくまで取り組みます。例えばカオリハウスの建築は開始してからすでに1年が経過しますが未だに完成がいつになるのか分かりません。何故なら途中で円谷さんから「急がされるとロクなものができません。じっくりと取り組ませて下さい」という申し入れがあり、「それならどうぞ心行くまでやっちゃって下さい」ということで納期なき建築作業に突入したという経緯があるからです。
カオリハウスのようなケースは円谷さん的にも稀だと思うのですが、通常の場合でも、最低3~4ケ月は建築期間を設けているようです。
「メーカーや普通の工務店が短期間で仕上げようとするのは、客に変な知恵がつくのを恐れているからです。客に変な知恵が付いたら色々と要求されてしまうでしょう?だからイザ家を建てるとなったら客が変な知恵を付ける前に一気にやっつける。そして気が付いた時にはもう完成してる。客が後から本など読んで、“あら、こんなのもいいかも知れないわ”と思った時にはすでに手遅れという状況を、わざと作りだしているんです」
そう言われる円谷さんは、逆に施主に時間を十分に与え、施主から出る意外な提案を楽しんでいるような様子さえあります。円谷さんにとっての建築は“無常の楽しみ”なのです。建築が本当に好きで、建築のことを考えるためには土曜も日曜も深夜もありません。四六時中、自分の納得のいく建築をしたいと考えている、そんな建築家が円谷さんなのです。
「少しでもいい建築にしたいので、多少の予算オーバーでも独自の判断で良いモノを使ってしまう。その分はお客様に請求出来ないから、結局は私が被ることになるんです。そんなことばかりやってるからちっとも儲からない。だから、滅茶苦茶なことをやって、金儲けのことだけ考えているような悪徳業者を見ると無性に腹が立つんです。真面目にやってる人間が馬鹿を見るような世の中ではいけませんよね。私なんか、今までに幾ら持ち出したか分かりませんよぉ。でも、そういう姿勢が無ければ仕事も来なかったか。ははは」
そう円谷さんは笑いながらおっしゃっていました。
「考えながら作業をしたら短時間で出来る筈がありません。納得のいくものを作るためには皆がよく考えながら作業をする必要があるのです。だからウチで付き合いのある職人はみんなマイペースで時間をかけます。でもその分、確実に良いものが仕上がると思います」
そう言い切る円谷さんの姿勢には、仕事に対するこだわりとプライドが感じられます。きっと円谷さんの周りに集まっている職人さんたちは、円谷さんの考え方に共感し、一緒にじっくりと家を造り上げていきたいと願う方々なのだと思います。だから作業はそれぞれにマイペースで、納得のいくまで取り組みます。例えばカオリハウスの建築は開始してからすでに1年が経過しますが未だに完成がいつになるのか分かりません。何故なら途中で円谷さんから「急がされるとロクなものができません。じっくりと取り組ませて下さい」という申し入れがあり、「それならどうぞ心行くまでやっちゃって下さい」ということで納期なき建築作業に突入したという経緯があるからです。
カオリハウスのようなケースは円谷さん的にも稀だと思うのですが、通常の場合でも、最低3~4ケ月は建築期間を設けているようです。
「メーカーや普通の工務店が短期間で仕上げようとするのは、客に変な知恵がつくのを恐れているからです。客に変な知恵が付いたら色々と要求されてしまうでしょう?だからイザ家を建てるとなったら客が変な知恵を付ける前に一気にやっつける。そして気が付いた時にはもう完成してる。客が後から本など読んで、“あら、こんなのもいいかも知れないわ”と思った時にはすでに手遅れという状況を、わざと作りだしているんです」
そう言われる円谷さんは、逆に施主に時間を十分に与え、施主から出る意外な提案を楽しんでいるような様子さえあります。円谷さんにとっての建築は“無常の楽しみ”なのです。建築が本当に好きで、建築のことを考えるためには土曜も日曜も深夜もありません。四六時中、自分の納得のいく建築をしたいと考えている、そんな建築家が円谷さんなのです。
「少しでもいい建築にしたいので、多少の予算オーバーでも独自の判断で良いモノを使ってしまう。その分はお客様に請求出来ないから、結局は私が被ることになるんです。そんなことばかりやってるからちっとも儲からない。だから、滅茶苦茶なことをやって、金儲けのことだけ考えているような悪徳業者を見ると無性に腹が立つんです。真面目にやってる人間が馬鹿を見るような世の中ではいけませんよね。私なんか、今までに幾ら持ち出したか分かりませんよぉ。でも、そういう姿勢が無ければ仕事も来なかったか。ははは」
そう円谷さんは笑いながらおっしゃっていました。
この体験談の読み方
各ページでは、那須での別荘建築について、土地探し・建築家との打合せ・工事・完成後の暮らしの様子などを順に紹介しています。
興味のある部分から読んでいただいても構いませんし、最初から順に読んでいただくと、より流れがつかみやすいと思います。
関連リンク
How to read this story
Each page shows one step of building the vacation house in Nasu, such as land search, meetings with the architect, construction, and daily life after completion.
You can start from any part you like, but reading in order may help you understand the full flow more clearly.