14. 地鎮祭
地鎮祭とは工事の無事を祈って、工事直前に行なう祭式です。参加者は神主さんと設計士さんと棟梁とカオリでした。地鎮祭に招く神主は、黒磯神社の神主さんにしました。設計士さんと棟梁のクチコミによると、地鎮祭を行なうのに那須では一番いい神主さんだということで、祭式のお礼としてお渡しする「御玉串料」も2万円と格安でした。祭壇や御神酒、米、塩、山の幸、海の幸などの神饌物、盛り砂や竹など、すべて必要なものが一式と神主さんへのお礼を含めたお値段ですので、かなり良心的です。それでいて祭式は神妙で厳かで大変に満足のいくものでした。設計士さんと棟梁のクチコミ通り、那須の地鎮祭は「黒磯神社」にお願いするのがベストだと感じました。他にご祝儀として設計士さんと棟梁に各5千円ずつ包みましたので地鎮祭にかかった費用は総額で3万円でした。
地鎮祭でカオリが一番悩んだのは服装ですが、掲示板で聞いてみたところ、形式にこだわらず「1番お気に入りの晴れ着を身に着ければよい」とのことでしたので、シックな平服にお気に入りのビーズアクセサリーを身につけて祭式に参加しました。当日は少し霧雨がパラつき「雨降って地固まる」地鎮祭には最適のお天気でしたので、気張ってスーツなど着ていかないで良かったと思いました。やはり「TPO」は大事ですね。
抜根作業をした木の根っこや腐葉土を取り除いた跡の大きな穴ぼこが空いた土地の僅かな平地部分で執り行われた祭式でしたが、「いよいよこれから工事が始まる」という厳かな雰囲気が充満していくようで、とても清々しい気分でした。最近は地鎮祭もやらないという人が居るようですが、これから工事に携わる人々を引き締まった気持ちとするためにも重要な儀式なのではないかと感じました。
ところで、腐葉土を取り除いた跡の大きな穴ぼこのお話が出てきましたので、地盤調査について少しお話します。欠陥住宅の被害に遭わない為の重要なポイントの一つです。欠陥住宅の原因は色々とありますが、まず最初に注意したいのが地盤調査の有無と結果に対する対処です。どんな家も地盤がしっかりしていなければ傾きます。まして家を建ててしまってからではどうしようもないことなのですから、何を置いてもまず初めにチェックすべき事柄です。那須の場合、腐葉土が地上から1メートルくらいは積もっているため、粘土質の土まで一度掘り下げて腐葉土を取り除き、改めて強度が出るように少しずつ固めながらサンドイッチを造る様に地盤を改良していく必要があります。地盤調査は建物を建てる部分に対して最低4箇所以上行ない、結果を必ず数値で見せてもらうことが大切です。当然行なうべきそういったチェックをしなかったことで、後々家が傾くことになっても、それは自業自得というものです。カオリは地鎮祭の日に行ったらたまたま大穴が開いていて、底のほうが粘土質の土まで達しているのを自分の目で確かめることができました。あとはきちんと固めながら埋め戻してもらえば大丈夫と確認しましたので、地鎮祭の当日ではありましたが大穴が開いていて、よかったと思いました。
ちなみに地盤の強度は“N値”という数値で表されます。N値とは、63.5kgのハンマー(おもり)を75cmの高さから自由落下させて、サンプラーを土中に30cm貫入させるのに要する打撃回数を測定する「標準貫入試験」での打撃回数です。一般戸建て住宅の場合は、試験時間が長い、コストが高い、打撃音やモーターの音がするという諸々の理由から「標準貫入試験」は行なわれずに、荷重をかけたロッドをねじ込むことによって「貫入抵抗値」を求める「スウェーデン式サウンディング試験(SS試験)」を行なうのが普通です。SS試験から換算式によって「推定されたN値」を換算N値と言い、通常はこの換算N値が記載された地盤調査報告書を見て地盤改良の設計が行なわれることとなります。
換算N値の読み方としては、砂質土の場合は5以下が軟弱、粘性土の場合は3以下が軟弱と判断され、何らかの地盤改良が必要となります。カオリの土地の場合は粘性土の地盤で地上から1メートルほど腐葉土が積もっており、換算N値も地上から1メートルの深さまでは0.5から3.0以下のバラツキが見られました。従って地上から1メートルの深さまでの土をすべて取り除き、地盤改良を行なうことになったのです。
この体験談の読み方
各ページでは、那須での別荘建築について、土地探し・建築家との打合せ・工事・完成後の暮らしの様子などを順に紹介しています。
興味のある部分から読んでいただいても構いませんし、最初から順に読んでいただくと、より流れがつかみやすいと思います。
関連リンク
How to read this story
Each page shows one step of building the vacation house in Nasu, such as land search, meetings with the architect, construction, and daily life after completion.
You can start from any part you like, but reading in order may help you understand the full flow more clearly.