6. 建物の基本イメージ Basic Image of the House
設計を考えるにあたってカオリが出した基本条件は以下のようなものでした。 Below are the basic requirements Kaori shared for the design.
- 寝室となる部屋(和室でも洋室でも可)が1部屋8畳以上で2部屋あること。Two bedrooms, each 8 tatami mats or larger.
- 2階建てにして、寝室となる部屋のうち1部屋は2階に置いて、それぞれのプライバシーが充分に確保されるようにする。Two-story layout; one bedroom on the second floor for privacy.
- 1階は寝室となる部屋、リビングルーム、ダイニングルームの3部屋がなるべく続きとなるように配置して、すべて南向きにする。On the first floor, connect bedroom/living/dining as one flow, all south-facing.
- 玄関の位置にはこだわらない。No strong preference for entrance location.
- キッチンの位置にはこだわらず、健常者仕様とする。Kitchen location flexible; standard specification.
- バス・トイレは車椅子でも利用可能なバリアフリー設計とする。Barrier-free bath/toilet accessible by wheelchair.
- バスの扉は3枚開きドアにして、車椅子のままバスへ侵入できるようにする。Three-panel bath door for wheelchair access.
- トイレのドアは横開き戸にして、トイレの中もしくは外で車椅子が回転できるスペースを充分にとる。Sliding toilet door; enough space to turn a wheelchair.
- 室内はすべて車椅子で移動可能な幅をとり、段差をなくす。Wide paths and no steps inside.
- 特に玄関のあがりかまちは段差を最小限にして最大でも6センチの段差とする。Entrance step minimized to 6 cm at most.
- 室内からテラスに出る段差も最小限にする。Minimize step from interior to terrace.
- 1階部分ですべての用事が済むような設計とし、2階は健常者用とする。Enable daily activities on the first floor; second floor for standard use.
- 駐車場から玄関までスロープを付ける。Add a slope from parking to entrance.
- 室内になるべく行き止まりを作らずにぐるぐる回れるような空間にする。Avoid dead ends; allow circulation flow.
- 窓を大きく多めにとり、明るい室内にする。Large and many windows for a bright interior.
バリアフリー設計を意識した建物が誰にとっても快適であることを知っていましたので、可能な限りバリアフリーに近い設計を目指すことにしました。 Kaori aimed to make the house as barrier-free as possible because it can be comfortable for everyone.
1ケ月後、ふたたびペンション「サライ」さんへ泊まりに行き、夕食後に建築家の方を交えて設計図を囲み1回目の設計打ち合わせを持ちました。 ところが見せて頂いた設計図はどうもイメージが違っていたのです。 After about a month, Kaori met the architect again at Pension “Sarai” for the first design meeting.
「うーん・・・」
設計図を見ながら考え込むカオリ。そしておもむろに
「ハサミはありますか?」
と言って、ペンション「サライ」の中村さんにハサミを借りました。
そして設計図をジョキジョキとパーツごとに切り始めたのです。
そして組み合わせを変えて
「こんな感じかなあ」
とイメージを組み立てました。
Kaori even asked for scissors and started rearranging the plan pieces to match her image.
しかし・・・今、考えてみたらなんという大胆な行動だったのでしょう。 建築家の目の前で設計図をハサミで切ってしまうなんて・・・。 建築家の方の目の色が変わっていたのを思い出すとゾッとします。 後で判明したことなのですが、建築家の方は別の土地と勘違いして設計図を引いてしまっていたんです。 だからカオリが建てたいと思っている場所とはまるで違う設計になってしまっていたのですね。 どおりで道路が南側にあるのに北側から玄関に入るのはおかしいと思ったんです。 今さらですが、ナマイキなことをしてしまってすみませんでした。許して下さいね。 Later, it turned out the architect had drawn the plan assuming a different plot of land.
この体験談の読み方
各ページでは、那須での別荘建築について、土地探し・建築家との打合せ・工事・完成後の暮らしの様子などを順に紹介しています。
興味のある部分から読んでいただいても構いませんし、最初から順に読んでいただくと、より流れがつかみやすいと思います。
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How to read this story
Each page shows one step of building the vacation house in Nasu, such as land search, meetings with the architect, construction, and daily life after completion.
You can start from any part you like, but reading in order may help you understand the full flow more clearly.